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「 ◆「マ」行の作者→万城目学 」 の記事一覧
2008.01.05 Sat
『鹿男あをによし』
「あをによし」は和歌の世界で【奈良】を示す枕詞だそうです。
そう、そして奈良といえば鹿なのです。
しかしこのタイトルからストーリーを想像するのは容易くありません。
で、実際読んでみたものの、うまくあらすじを書けそうにもない・・・そんなお話です(汗)

鹿男あをによし鹿男あをによし
(2007/04)
万城目 学

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あらすじ:
大学の研究室で働く28歳の主人公。
助手との関係が気まずくなり、見かねた教授から
2学期限定で奈良の私立女子高の物理講師の職を勧められる。
渋々赴任した奈良で彼を待っていたのは1匹の鹿だった―。


ネタバレは避けようと思ったのだけれど
基本的なところなんでこれだけは書いておきます。
鹿がしゃべります、雄弁に。
その鹿は、主人公にある使命を言い渡すのですが
もともと「神経衰弱」というレッテルを教授に貼られてきた主人公は
それが現実なのか、自分が本当に衰弱して幻を見ているのか、分からない。
読んでる私にも、途中まではよく分からない。 

しかし主人公は、その課せられた使命を何とかまっとうすべく
いや、鹿曰く、そうなる宿命のままに突き動かされていくのですが
見えない敵に行く手を遮られます。そして、彼に悲劇が訪れるのです。
“鹿男”として生きざるを得ない事態が・・・。

と書くと、なんとも現実離れした突拍子もない話のようですが、
実はそうではなくて、ひとりの新人教師が成長していく学園ものとしても
きちんと描かれています。
主人公が教師として赴任したこの学校で起こる様々な出来事
―受け持ったクラスの生徒(堀田イト)との諍い、
 職員室で隣の席になった歴史教師の藤原君との他愛もない会話、
 剣道部の顧問として挑んだ姉妹校との交流戦 等々―
そういった、細やかなエピソードがちゃんと根っこにあって、
それがどんどん鹿の言う使命と結びつき、
ひいては1800年もの歴史を遡る一大スペクタクル(?)にまで繋がって、
最後は大団円!・・・という、なんだかスケールが大きいのだか小さいのだか
やっぱりよく分からない話なのでした(笑)
でも、ストーリーを追うのは全然難しくなかったし、面倒くさくない。むしろ読みやすい。
そのバランス感覚がとてもよく出来た作品だと思いました。

他には、主人公の下宿先に住む同僚教師の重さんとそのおばあさんとか、
リチャード・ギア似のダンディな教頭とか、
姉妹校の剣道部顧問であるマドンナ先生とか、
漱石の「坊ちゃん」を思い出させるような個性派キャラが勢ぞろいで、楽しく読めました。
神経質で生真面目で鬱憤を抱え込むタイプの主人公が、
こういった魅力的な面々に囲まれて(時には騙されて?)
最後はちゃんと筋の通ったいい男になっていくいう過程も良かったです。

著者のデビュー作「鴨川ホルモー」に比べると
「ホルモー」の方が破天荒で突き抜けてて、私はあちらが好みだけど
奈良の歴史的背景とかまでひっくるめて書き込んであるこの作品には
それとはまた違う奥行きがあったのかなという気がしています。
とにかく、2作続けてこの発想力がすごいなぁと思いました。

(2008年1月4日読了/☆4)


【余談】
人気の漫画や小説を原作としたドラマ化が後を絶たない昨今とはいえ
さすがにこれがドラマ化されるとは思いませんでした。
「鹿男」をどのように表現するのか、まあ楽しみでもあるのですが、
でも藤原君を女性に(しかも若くて可愛い女性)に設定なのはいかがなものか。
藤原君は主人公の相談相手であり、奈良のいろはを教えてくれる相棒であり
とにかく心和ませるナイスキャラなのに、
公式ページを見ると「マイペースで話がかみ合わない」とか「同じ下宿に住む」
とか目が点になるような設定に様変わりしているではないですか!
連続ドラマにするにあたり、原作を膨らませる必要があるのは分かるけど、
そこを変えてほしくなかった・・・。
ま、まさかラブとか芽生えちゃったりしないでしょうね!?・・・不安だ。

  

テーマ:読んだ本。 - ジャンル:本・雑誌
◆「マ」行の作者→万城目学    Comment(0)   TrackBack(1)   Top↑

2007.08.07 Tue
『鴨川ホルモー』
鴨川ホルモー
鴨川ホルモー
posted with amazlet on 07.08.21
万城目 学
産業編集センター (2006/04)

「ホルモー」って何?
この本のタイトルを見たおそらく誰もがそう思うに違いない。
だから、「ホルモー」が何なのかはここでは明かしません。
だって主人公だって最初は何が何やら分からないで進んでいくんですもの。
一緒になって読み進めていくしかないのです。
(まあ読んでみても結局は謎だらけなんですけどね・・・笑)

で、一体どんなストーリーなのかと言うと
京大1回生の主人公・安倍が、得体の知れないサークルに勧誘され
新歓コンパでひとりの女の子にひと目惚れし、それが理由であれよあれよと一員になり
「ホルモー」の何たるかを知り、戦い、成長していくわけです。
親友と出会い、仲間ができて、主人公は自分の弱さや本当にいちばん大切なことに気づく・・・。
とまあ、大枠は青春モノの王道のようなストーリーなんです。
が、この本はそれだけじゃない。

なんと言いますか・・・もうね、ものすごく「くだらない」のです。
誤解のないように書きますが、これは最大級の賛辞の言葉です!!
「何だソレ?」っていう、何の得にもならないようなバカバカしいことに本気になったり、
「ソンナコトで?」っていう、ちっぽけな理由で切羽詰まって悩んじゃう・・・
その姿こそが“若さ”ってやつじゃないですか!
この本にはそういう若さがギュギュっと盛り込まれていて、実にくだらなくて、だから面白いんです。
特に「吉田代替わりの儀」とかもう最高でした!!
私、ちょうどバスの中で読んでて、笑いを堪えるのに必死でしたもの。

京大のダメ男ストーリーというと、どうしても森見さんの作品が頭を掠めてしまうのですが
最終的な後味はぜんぜん違って、こっちの方がストレート。
ひと目惚れってしたことも(もちろんされたことも)ない私だけど、
若いっていいなぁ〜!恋っていいじゃん!って素直に思いましたよ。
先輩のスガ氏やライバルの芦屋くんなどサブキャラの性格やエピソードをもう少し濃くしてくれると
より主人公や仲間たちに感情移入できたのになぁという部分が少し残念でしたが、
意外や意外、とても爽やかなラストでございました。

普段は、1冊の本を読み終えてから感想を書くまでに
なかなか重い腰の上がらない私ですが 
この本は何故か読み終えてすぐに「書かなきゃ!」と思い、スルスルっと書けました。
ホルモーの正体を知りたい方、
そして、バカバカしいけど微笑ましい青春の1ページを思い出したい方は是非ご一読を。

(2007年8月7日読了/☆4)
    

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