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「 ◆「ハ」行の作者→東野圭吾 」 の記事一覧
| HOME | 『赤い指』
東野作品ではおなじみの加賀恭一郎刑事が鋭い洞察力を見せつけ、 少女殺人死体遺棄事件の真相と、1つの家族が抱える深い闇に迫る中編ミステリー。 あらすじ:ごく普通のサラリーマン・前原昭夫は4人家族。 認知症の母親を渋々引き取るものの、妻はその姑を疎んじていて不仲。 長男は不登校で親とろくに口もきかない・・・。 夫としても父親としても、問題を直視せずに逃げ続けてきた彼の家庭で ある日突然、事件は起こる。 そこには見知らぬ少女の遺体が横たわっていた―。 核家族化、老人介護、いじめ、引きこもり、少年犯罪・・・。 現代の日本に山積する様々な問題をこれでもかと盛り込んだこの作品は、 ミステリーとしての謎解きよりもまず、その設定がリアルだ。 少年犯罪が起こるたびに「親の顔が見てみたい」というのはよく聞く台詞ですが、 実際に見たらこんな感じなのかもしれない・・・というような。 家庭内の問題を積極的に解決しようとせず逃げるばかりの父親も、 息子を溺愛し甘やかすばかりの母親も、きっとどこにでもいる。おそらく沢山いる。 じゃあ、実際に子供が何かとんでもないことをしてしまった時に、 親は一体どうするべきなのか―? 前原夫妻は、いちばんやってはならない行動をとります。 必死に知恵を絞り、ある恐ろしい計画を考えつくのです。 その行動のおぞましさ、人間としての醜さ、弱さは 読んでいてかなりの怒りを感じるほど身勝手極まりないものですが、 最後の最後に、タイトルにもなっている『赤い指』の謎が明らかになり この計画のすべては破綻することになります。 けれど、それは決して靄が晴れるものではなく、悲しさだけが胸に広がる結末でした。 昭夫を覗く家族一人一人(特に息子)の心理描写が極端に少なく、 そのあたりも東野作品らしいと感じました。 変な言い方だけど、それでいて分かりきった気にさせるのが妙味なのではないかなと。 加賀刑事自身の父親との確執というエピソードが盛り込まれていたのも、 親子の無関心さをあり得るものだと感じさせながら、 どこかで逆転できるという可能性を示す意味で効果的だったように思います。 ただ如何せん、謎解き部分のトリックにはかなり無理を感じたのと 完全に被害者側が置き去りにされているという印象を最後まで拭えず、 正直な読後感としては今ひとつ・・・と言わざるを得ませんでした。 加賀刑事にはアッパレですけどね。 (2007年10月27日読了/☆3)
テーマ:読んだ本。 - ジャンル:本・雑誌 『使命と魂のリミット』
図書館でものすごい数の予約数を待って、ようやく手元に。 学生時代から読んできた東野さんも本当に人気作家になってしまったなぁ。(遠い目) 主人公は心臓外科医を目指す研修医の夕紀。 大好きだった父親が手術中に死亡したことへの疑念を払拭できず、 父親の担当医だった西園医師の元で研修を続けている。 そんな折、病院を破壊するという脅迫状が届く。 恋人を不慮の事故で失った男が、ある人物への復讐のため動き出していた。 夕紀と西園、犯人と彼に利用された看護師、そして事件を追う刑事、 それぞれが「使命」を背負いながら、クライマックスの手術を迎える―。 というストーリーですが、何と言うか、やけにあっさり収束してしまったなという印象。 夕紀の疑念も犯人の復讐も、もっと複雑で入り組んだ内容にできるところを あえて「希望」や「良心」を残した、という感じもしました。 相変わらず読みやすい文章ですが、期待していただけに、少し物足りなくも感じました。 (2007年4月21日読了/☆3)
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