私の本棚。読了本の感想等をぼちぼち綴ってマス♪
いらっしゃいませ♪
 

 
プロフィール

ぴのこ

Author:ぴのこ
30歳・♀・B型

本はいろんな世界に私を連れていってくれる、
ありがたい存在です。

◆注意◆
記事の内容にそぐわない
コメント・トラックバックは
予告なしに削除します。

最近読んだ本
最近のコメント
作者別カテゴリー
最近のトラックバック
過去の記事

ブログ内検索
RSSフィード
リンク
Powered By FC2ブログ
おなじみAmazon♪
ご利用くださいね☆

ぴのこのBOOK備忘録
≪2008.07  1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31  2008.09≫
今 コレ読んでます♪
待機中♪
図書館で予約中♪
「 ◆「ナ」行の作者→梨木香歩 」 の記事一覧
2007.03.06 Tue
『家守綺譚』
この本を読んでいる間、私はせかせかした現代をしばし離れ
四季折々の植物や澱みのない澄んだ空気に溢れた不思議な世界に魅了されました。
到底あり得ない不思議なことばかり起こっているのに、
なんの疑問もなく、きっとそこにはあったんだろうなと思わされる、そんな世界。
現実以上のリアリズムさえ感じて、溶け込んでしまいたくなるほど心地いい読書でした。

家守綺譚
家守綺譚
posted with amazlet on 07.03.06
梨木 香歩
新潮社 (2004/01)

これは、ほんの百年と少し昔
亡き友人・高堂の実家の家守を任された文士・綿貫征四郎の徒然の記。
人間も植物も河童も小鬼も犬もタツノオトシゴも、亡き友人の御霊さえ
魂を持って生けるモノたちが、それぞれに流れる季節を感じながら寄り添って交歓し合あう様子が
その時々にモチーフとなる植物の名をタイトルにした短編で綴られていきます。

例えば、綿貫がサルスベリの木に懸想されてみたり、
河童が庭の池に流れてきたり、狸に化かされてみたり
床の間の掛け軸の中から高堂がひょいと現れたり―。
あり得ないんだけど、でも読んでいて気味の悪さだとか奇怪な感じだとかは少しも残らない。
それは、登場する人物たちがすべて当たり前のこととして共存しているから。
時に、綿貫が驚いたり訝しく感じたりしようとも、飼い犬・ゴローや隣に住むおかみさんにとっては
何の違和感もなくそこにあって、彼らはこの不可思議をすんなりと受け入れる。
だから、私たち読者も「あぁ、こうした世界が確かにあったんだな」と感じ
まるで綿貫がこの家に住まい続けるみたいに、一緒になって浸ることができるのです。

特に和ませてくれるのが犬のゴロー。
時々飼い主の綿貫も心配するくらい、ブラリと遠出して何日も家を空けることもあるゴローは
どうやら実はその世界では名の知れた犬(!)で
仲裁屋としてあちこちで活躍しているらしいというんだからもう立派すぎる。
でも別に人間の言葉を喋れたり空を飛べたりするような特殊能力があるわけでなく、
綿貫にしっぽを振り、おかみさんからもらった残り物を食べ、番犬として吠えることもある普通の犬。
ああ、なんて賢いんだ。なんて可愛いんだ。 

続きが読みたくて仕方がなくなる、というタイプの本では決してなくて
日本語を丁寧に少しずつかみ締めるように読み進めていけばいい、そんな本です。
お天気のいい日の庭先でも、雨の日の窓辺でも、
就寝前の床の中でも、たとえ通勤電車であっても、
きっとページを開けばスーっとこの空気が押し寄せるはず。

実は、時間を掛けて2回ほど続けて読みました。
この世界から抜け出すのが惜しいなぁ、もっと味わいたいなぁというのもあったけど
終盤、綿貫が黄泉の世界に吸い寄せられていくまでの過程とか、高堂が彼に示す言葉の意とか
1回読んだだけでは私にはこの本の深みが理解できなかったのです。
最終箪「葡萄」の余韻が素晴らしかった。

独創性や多彩なエピソードもさることながら
それを綴っていく日本語が美しくて、あらゆる点で凄い作品だなぁと感じました。
ただ、読めない漢字や不明な単語も多数・・・。
改めて自分の浅学を恥じるに至らしめてくれた本でもありました。
 
(2007年3月3日読了/☆4.5)
  

テーマ:読んだ本。 - ジャンル:本・雑誌
◆「ナ」行の作者→梨木香歩    Comment(4)   TrackBack(0)   Top↑