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「 ◆「マ」行の作者→森見登美彦 」 の記事一覧
2007.12.26 Wed
『有頂天家族』
これまでに発表されている森見作品と同様、この作品も例に漏れず舞台は京都。
しかし人間界の話じゃあございません。
主人公は狸。身を寄せ合って健気に生きる狸の家族と
彼らを取り巻く天狗と人間の織り成す荒唐無稽な物語。

有頂天家族有頂天家族
(2007/09/25)
森見 登美彦

商品詳細を見る

あらすじ:
狸界の頭領として名を馳せた偉大な父を亡くし、
優しい母を守るように糺ノ森でひっそりと暮らしている下鴨家の4兄弟。
三男・矢三郎は、父の盟友であり兄弟の師匠でもあるかつての大天狗
(今は老いぼれて引きこもっている)赤玉先生の世話を焼きつつ
赤玉先生が見初めて一人前の天狗に育てあげた絶世の美女・弁天が気になっている。
しかし弁天は、忘年会で狸を鍋にして喰らうという慣わしを持つ
憎き秘密結社「金曜倶楽部」の一員であり、父の天敵でもあったのだった。
 


勇敢かつ賢明で数多くの武勇伝をもつ父が 
なぜ金曜倶楽部に捕らわれ、鍋に入れられてしまったのか。
父の実弟であり、下鴨家とは仲違いしている大狸・夷川早雲と
下鴨家の長男・矢一郎、どちらが新しい頭領の座に就くのか。
この2つを軸に、数々のエピソードが色んなところで繋がりを持っていきます。

そして、無敵の森見ワールド全開!!!
狸たちも愛飲する門外不出の名酒・偽電気ブランをはじめ、
赤玉ポートワインを燃料にして空を飛ぶお座敷、
扇ぐだけで猛烈な風雷を巻き起こすという扇、父の形見の電動人力車、
そして次男・矢二郎が化ける偽叡山電車で洛中を駆け抜けるくだり等々
宮崎アニメを見てるみたいな色彩豊かな情景が頭の中に広がって、
読んでいると知らず知らずに顔がほころんでいきます。
何が起きても「阿呆の血のしからしむるところ」なのです!

4兄弟のキャラクターもすごくいいです。
長男・矢一郎は度量は小さいけれど真面目で堅実、
次男・矢次郎は父の死を境に蛙に化けたまま井戸に引きこもり、
三男・矢三郎は化術に長けていて好奇心旺盛、
そしてまだ幼い四男・矢四郎は気が弱くてすぐに尾尻を出す臆病者。
1人(いや1匹)ずつでは偉大な父の足元にも及ばないけど、
4匹が揃った時の結束力と、母を中心に互いを大切に想いあう気持ちは温かく、
まさに“かくも毛深き家族愛”がたっぷり。
矢二郎が蛙になったまま戻れない理由なんかはちょっと切なくなったりもしました。
あと個人的には、お母さんがタカラヅカファンで、
人間に化ける時は必ず黒服の美青年ってところがかなりツボでした!
・・・是非お会いしてみたいっ(笑)

他にも、何かにつけて下鴨家に嫌がらせをする夷川家の金閣・銀閣兄弟や
口は悪いがいつも影から助けてくれる矢三郎の元許婚・海星、
金曜倶楽部の一員でありながら、狸をこよなく愛し、母の命の恩人でもある淀川教授など
キャラクターがとにかく多彩で、とてもとても楽しく読めます。

好きだから食べちゃうという人間と、
どうせ食べられるなら美味しく食べてもらいたいという狸のそれぞれの心理。
そこにある不条理を決して悲しく見せずに、きちんと消化させているのが見事でした。
弁天や海星のオンナゴコロも実はそこかしこに見え隠れしてて
そういうところもただのハチャメチャなファンタジーとは一線を画していて良かったです。

もちろん最後はこう叫んでおきましょう。
「面白きことはよきことなり!」

(2007年12月25日読了/☆4.5)
 

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2007.04.01 Sun
『太陽の塔』
太陽の塔
太陽の塔
posted with amazlet on 07.05.08
森見 登美彦
新潮社 (2006/05)

今いちばん注目している作家・森見登美彦氏のデビュー作。 
膨れ上がる欲望を女の子にぶつけることも出来ず、 男同士でひたすら妄想を弄ぶ主人公。
フラれた相手の「研究」と称して彼女の後をつけ、理路整然と自分の行動の正当性している。
(いや、それストーカーだってば・・・)
世の幸福な男女へひたすら悪態をつき(男女が一定間隔に座る鴨川に男4人で紛れたり)、
クリスマスというイベントを嫌悪するその様に共感する男性は多いかも。
女性としては、その無駄に血気盛んなエネルギーを何とか別方向に!と願わなくもないけど(笑)
彼らの見事な自虐っぷりと時々のぞかせる繊細さは愛おしくもある。
 
(2007年4月1日読了/☆3.5)
 

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2007.02.27 Tue
『夜は短し歩けよ乙女』
冒頭の1ページ目を読んでビビっときました。
「ああ、これはゼッタイに好きだ」と。
予感が確信に変わるのにさして時間は掛からず、読み始めてすぐに虜になりました。
キラキラした夢の中にいるような楽しい読書タイムを提供してくれたこの本に
こうして出逢えたのも何かのご縁。・・・なむなむ!

夜は短し歩けよ乙女
夜は短し歩けよ乙女
posted with amazlet on 07.02.27
森見 登美彦
角川書店 (2006/11/29)


とにかくまあ主人公の“黒髪の乙女”が可憐で愛らしいんですっ!!
この本ではそこかしこに様々な奇人変人たちが登場するのですが
彼らととアっという間に仲良くなれてしまう天真爛漫ぶり。お上品なのに快活。
おまけにおそろしいほどの酒豪。
すべてにおいてキュートでチャーミングであります。

そんな彼女に片思い中なのが同じクラブに所属する“先輩”。もう1人の主人公です。
 「あ!先輩、奇遇ですねえ!」
 「ま、たまたま通りかかったもんだからさ」
この本は、彼女とこの会話を交わしたいがための
そしてあわよくばその先にあるバラ色のキャンパスライフを夢見る彼の
涙ぐましい努力の記録と言っても過言ではありません!
春は夜の繁華街、夏は古本市、秋は学園祭・・・
止まらない“ロマンティック・エンジン”という名の妄想を胸に彼女を追う先輩。
まさに彼女の歩くところに先輩あり!といった感じであります。
自らを “彼女の後ろ姿の世界的権威”と称するほどです。

そして行く先々で巻き起こる大騒動。(その嵐の中心に彼女がいるんだけどね)
荒唐無稽で滅茶苦茶なんだけど、エピソードひとつひとつが面白いのなんのって!!
また、これに見事なほどに巻き込まれ振り回され、
嵐の隅っこで彼女に気付かれぬまま奮闘する先輩・・・
その“路傍の石ころ”っぷりが最高なのでございます。

この2人が交互に語りかける形で物語が進んでいくのですが、
その交代のタイミングがまた絶妙でした。
先輩が『読者諸賢、割り込んで申し訳ない』とか言って出てくるの、大好き(笑)。
独特の文体も、テンポの良さも、すべて私のツボをこれでもかと刺激しまくりで
もはや、この本の魅力を私の貧困なボキャブラリーではうまく表現できません。

読むべし。
そして、人事を尽くしまくった結果、彼に訪れた天命に拍手すべし。

(2007年2月26日読了/☆5)
 

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