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「 ◆「カ」行の作者→その他 」 の記事一覧
| HOME | 『ミミズクと夜の王』
正直に告白しますと、私は2回ほどこの本を読むのを挫折しかけました。 1回目は作品の冒頭。 ミミズクの言葉遣い(文体)が、すごく耳慣れなくて苦手な感じで戸惑いました。 「あたしのこと、食べてくれませんかぁ」とただただ繰り返すミミズクの本意も分からなくて、 こんな日本語が続くのならもう読めない・・・と思った。 しかし、自分のことを「ミミズク」と名乗っているのが人間の少女だと途中で分かります。 そして彼女は、自分が人間であることさえも認めたくないほどの ひどい仕打ちを過去に受けていた―。 それらが明らかになるにつれ胸が痛み、悲しくなり、もう残酷すぎて読めない・・・と思った。 でも、そこを乗り越えると一気でした。 最後まで読んで本当に良かったです。 これは、人間としての命を捨てたくて森に逃げ込んだ少女(ミミズク)と、 その森を司る“夜の王”が出会う物語です。 今まで自分が生きてきた世界にはなかった静寂と 何も言わずにそばにいさせてくれる“夜の王”の包容力、そして優しさに触れたミミズクが 愛されることを知り、愛するものの無事を願い、自分にとっていちばん大切なものを選び取る。 ただそれだけの物語です。 ミミズクが抱えていた壮絶な過去と心の傷や 彼女が後に巡り合った人たちから受けた数々の愛情を思うと、それだけで 自分でも気付かぬうちに涙が勝手に溢れてきて、止められませんでした。 文章としては拙さを感じさせる部分も多いですが それ以上に「物語」として強いです。真っ直ぐ胸に響きます。 理屈じゃなく、小さい子供から大人まで是非読んでみてほしいです。 (2007年7月22日読了/☆4)
テーマ:読んだ本。 - ジャンル:本・雑誌 『陰日向に咲く』
本屋大賞にもノミネートされ、昨年の話題をかっさらった1冊とも言える
劇団ひとりの処女小説。 芸人が書いた作品としてでなく、ひとつの小説として読んだ結果 やはりいい意味で芸人としての観察眼の鋭さがビンビン伝わってくる佳作でした。 短編が5編。 それぞれの登場人物が他のストーリーにも少しずつ関わってて リンクしていくという流行の連鎖をおさえて仕上がっています。 時代設定もぜんぶ現在かと思わせておいて、 実はうーんと前(アノ人の若い頃の話だったのね!)というのが後から分かったりして。 で、出てくる人は壊れた人ばっかりです(笑) おいおいおい、ちょっと大丈夫かよ???っていう、妄想の連続。 そのネジのはずれっぷりの描き方がもう非常に巧い。 実際にアイドルに入れ込んだり男に騙されたりギャンブルに嵌ったりする人って ご本人の中でごく当たり前にそんな思考回路なんだろうな〜と思わされるし それぞれの主人公の喋り言葉(オタク口調だったりギャル口調だったり)で進んでいく文体も 違和感がまったくない。おもしろいな、と思いました。 みんな変な人たちなんだけど、自分の中ではすごく一生懸命。 おかれた状況を誤魔化そうとか、逃げちゃおうとかはしてないの。 ・・・あ、「オレオレ」って騙そうとしてうまくいかないような奴は出てきますが(笑)。 なんというか、著者自身がそういうズレた感覚だとか、そのズレを信じて疑わない人たちに すごく愛着を感じているというか、おもしろがってイジってやろうとする視点をひしひしと感じました。 そこが芸人さんならではなのかもしれないなぁ。 劇団ひとりってこの話に出てくる人たちを全部演じられそうな気がするもの。 サクっと読めるので普段ゆっくり読書する時間のない方にもオススメ。 いや、サクっと読めるのに後から味わい深いのがスゴイんだ、この作品は! 次の作品(が出るなら)、読むのが楽しみです。 (2007年2月19日読了/☆3.5)
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