| 私の本棚。読了本の感想等をぼちぼち綴ってマス♪ | |||
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「 ◆「カ」行の作者→角田光代 」 の記事一覧
| HOME | 『この本が、世界に存在することに』
「本」にまつわる9編の短編集。 図書館に行くと角田さんの棚はいつもチェックしていて、 殆どの著作のタイトルを知っていたはずなのに、 この本のことはポッカリ抜け落ちていました。 目にした瞬間に「読まなくちゃ!」と思いました。 なんとなく「これはきっとステキな本だ」という予感がしたというか。 実際に読んでみて、予感的中でした。 とても良かったです。 本を読むことが好きな人なら、ほぼ確実に好きなのではないでしょうか。 * 「旅する本」 かつて自分が手放してしまった本に、海外の古本屋で巡りあう偶然?必然?を描いたお話。 「だれか」 旅行先のタイで寝込んでしまった主人公。旅行者たちが宿に置いていった本に様々な想像を巡らせる。 「手紙」 恋人と喧嘩して一人で泊まった旅館に置き忘れられていた本には一通の手紙が挟まれていて・・・。 「彼と私の本棚」 本の好みがまったく同じだった恋人と別れることになり、二人で使っていた本棚を整理する女性の心理。 「不幸の種」 部屋に招いた恋人が、私の部屋の本棚から見つけたという本を読み耽っている。だが、私には見覚えがない・・・。 「引出しの奥」 裏表紙を開いたところにたくさんの書き込みがあるという伝説の古本を、クラスメイトと共に探し出すことに。 「ミツザワ書店」 小説で新人賞をとった主人公。「誰に最初に伝えたいか」と問われ、生まれ故郷の小さな書店のことを思い出す。 「さがしもの」 入院中の祖母から誰にも内緒で1冊の本を探してくれと頼まれたが、どうしても見つからないまま時が過ぎ・・・。 「初バレンタイン」 生まれて初めてできた恋人に、自分の人生を変えた本をプレゼントしていいものかどうかと悩む女の子。 * どれもしみじみといいお話でしたが、 特に印象に残っているのは「彼と私の本棚」、「ミツザワ書店」、「さがしもの」かな。 作中の台詞が忘れがたくて、すごく胸に響きました。
また、「あとがきエッセイ 交際履歴」と題された角田さんのあとがきも素晴らしかったです! 何度も何度も頷きながら読みました。
本を作る立場に居ながら、 ひとりの読書人として1冊の本を大事に思う気持ちを持ち続けている角田さん。 本を通して誰かと出会ったり、1冊の本によって運命が変わってしまったり、 本の持ち主である知らない誰かの人生に思いを馳せたり、 同じ本を数年後に読むことで自分自身の変化に気付いたり・・・。 この作品の主人公たちは皆、著者自身のそんな部分を少しずつ投影しているのかなと思いました。 目の前にある『この本が、世界に存在することに』 常に感謝と愛しさを忘れずに、謙虚な自分でありたい。 そういうことに気付かせてくれる素敵な1冊だと思います。 (2007年10月28日読了/☆4)
テーマ:読んだ本。 - ジャンル:本・雑誌 『八日目の蝉』
主人公は愛人の子供を衝動的に誘拐してしまった1人の女性(希和子)。 彼の子供を堕胎してしまった経験のある彼女は、腕に抱いたその赤ん坊を「薫」と名付け 自分の子供として育てることを決意し、逃亡生活を続ける―。 無論、希和子のしてしまったことは紛れもない犯罪です。 けれども、ひとりの人間としてとった行動が間違いであったとしても 母性をもつひとりの女性として、薫のことを全身全霊で愛した彼女を私は否定できませんでした。 全財産を手放し、外界と遮断された怪しげな宗教団体の施設に潜り込んでまで守ろうとした生活、 そこから逃げて、小豆島という穏やかな地でやっと見つけたささやかな2人の暮らしが いっそこのまま続けば・・・とさえ思ってしまいました。 しかし、希和子の逃避行は意外な形であっけなく幕を閉じます。 そして物語は後半、「5歳まで誘拐犯に育てられた少女」として育った 20年後の薫(恵理菜)の視点で描かれます。 夫の愛人に育てられた娘にどう接すればいいかわからず情緒不安定な母、 原因をつくった張本人にも関わらず父親であることすらを放棄してしまったかのような父、 そしてそんな2人に育てられた恵理菜・・・。 この小説にはごく普通の幸せな人生を送る人は誰もいません。 「こんなはずじゃなかった」と思う場所で生きざるを得ない人々・・・その姿はただ痛くて切ないです。 けれど、自分の過去(すなわち「薫」)に向き合う決心をした恵理菜と、 離れ離れになってもなお「薫」のことを想い続ける希和子が ほんの短い時間だけど、同じ場所で同じ空気を吸って同じ景色(小豆島)を見ている というラストシーンは哀しくも清々しく、霧が晴れるようでした。 七日目に死を迎えるはずの蝉が八日目も生きていたら あるべき人生から逸れた世界を生きることになったら 待ち受けるのは孤独だけなのかもしれない・・・。 「八日目の蝉」というこのタイトルも効いていて秀逸でした。 角田さんの書く女性はいつもリアルです。突き刺さるけど目を背けることができない。 そこが素晴らしいと思うし、私はこういう作品がすごく好きです。 (2007年6月17日読了/☆4.5)
テーマ:読んだ本。 - ジャンル:本・雑誌 『夜をゆく飛行機』
これは商店街の酒屋で育った4人姉妹のお話。 家族に降りかかる様々な出来事が多感な末っ子の視点で綴られていきます。 ずっと長い間、家族は手をつないでワイワイ言いながら歩んできたけど、 時が経ち、姉たちも自分も成長してそれぞれの事情を抱えながら変わっていく。 けれど、すごく遠くに居たってお互いの変化を察知できたり、 長い間会ってなくたって顔を合わせれば姉として、妹としての役割を自然と思い出す。 そしていつか、家の古びた物干し場で夜をゆく飛行機を眺めて笑いあった日々に、 彼女たちの心はきっと戻るんだろう。私はこういう小説、すごく好きです。 ちなみに、感受性豊かな主人公の末っ子・里々子ちゃん=長澤まさみちゃん のイメージで私は読みました(笑) (2007年3月22日読了/☆4.5)
テーマ:読んだ本。 - ジャンル:本・雑誌 『Presents』
今までもらった中でいちばん印象に残っているプレゼントは何ですか?
と質問されて、私はうまく答えが思いつかないのです。 でもきっと、誰かに与えたものよりもずっと誰かからもらったものは随分多くて もっと大事にしなきゃいけなかった、 これから先はもっと大事にしなくちゃいけない、そんなことを改めて思った1冊でした。 この世に生を受けた時に両親が一生懸命考えてくれた“名前”から 死を看取ってくれる人たちが流してくれる“涙”まで― 女性が生涯でもらい続ける様々な「Presents」を綴った短編小説です。 私がこの本を図書館で手に取ったのは、この装丁がすごく綺麗だったから。 カバーそのものが大事なプレゼントをラッピングした包装紙のようになっているという趣向です。 文中の挿絵も松尾たいこさんが描かれていて、とても色鮮やかでした。 小説はプレゼントをもらう年代順に12編が並んでいます。 私がいちばん好きだったのは“鍋セット”。 大学に合格して東京で1人暮らしを始める娘と、引っ越しを手伝いにきた母親。 不安で押しつぶされそうだけど、母親の前ではそれを隠してぶっきらぼうになる娘に 母親が手渡す大・中・小の3つの鍋のセット、にまつわるお話。 自分が就職して1人暮らしを始めた時のことと完全にオーバーラップしてしまいました。 しかも、私はちょうど実家に帰省していて、母親に駅まで送ってもらい そのあとすぐの電車の中で読んでしまったのでもう泣けて泣けて・・・。 他にも、小学校入学時に買ってもらった“ランドセル”とか 結婚式当日に親友たちがくれた手作りの“ヴェール”とか 風邪をひいた時に家族が作ってくれる“料理”とか・・・。 人生の節目にも、なんでもない日常の中にも様々なPresentsが散りばめられている。 著者の角田さんの言葉を借りるならば
私は誰かにそんなプレゼントを贈ったことがあるのかな。 夫に、母親に、友人に、将来の家族に、大切な人たちに 大切なものをもらった分だけせめて「ありがとう」の笑顔を返せるような女性でありたいです。 (2007年2月12日読了/☆3.5)
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